2年ぶりの春。
桜はやっぱいいな。
昭和基地では日に日に寒さが厳しくなってきている頃だろう。
たまに飛んでいたユキドリやトウカモさえも姿を見せなくなり、極夜に向けてどんどんと生き物の気配が消えていく季節。
日本では、あたたかな日差しの中、桜や道端の小さな花が色とりどりに美しい季節。
黄色いチョウチョ、
ピンクの桜、
緑の草木、
空の青こそくすんではいるけれど、
ここは色であふれているなぁと思う。
南極では、白と青がほとんど。
白い海、
白い氷山、
そして、晴れた空の青さはハンパない。
見上げると広くまぁるい真っ青な空が広がっている。
キレイに晴れた朝、自宅から出て空を見上げると、視界の半分以上は建物で隠れていることに気付く。
どんなに晴れたキレイな空でも、目に飛びこんでくる感動は薄い。
日本はホント便利で暮らしやすいと思う。
でも、周りを歩く人達のスピードは速く、いつも何かに追われているよう。
ふと空を見上げることさえないくらいに。
53次の時、4か月ぶりに帰ってきた日本で感じたことは、空が青くないこと。
今回、そういう認識はあったので、特に悲しい気持ちになったりはしない。
「そうだなぁ〜、こんなんだったなぁ」
って懐かしくさえ思う。
前回(53次のとき)は4か月ぶりの日本に色んな感動があった。(参照:「あたりまえのせいかつ」)
虫が飛んでる!
雨降ってる!
CMやってる!
あ!カギかけなきゃ!
でも、今回は1つ1つの感動が薄い。
1年4か月ぶりって、どんだけ感動的なんだろうって正直たのしみにしていたけど、意外と
「あ〜〜、そーね、そーだったね」
くらいの感覚でしかない。
人間、最初ってやっぱ肝心なんだなと思う(⌒-⌒; )
前回より確実に大きく感じていることがある。
それは食事のサミシサ。
毎日三食、仲間たちと一緒に他愛ない話をしながらワイワイと食べた食事を本当に恋しく思う。
そんなセンチな気持ちを感じつつ帰国してから3週間が超特急で過ぎ去っていった。
色んな「久しぶり」をしみじみと思うヒマもないくらい急激に普通の社会生活に引き戻された感じ。
区役所には海外転出届を出していたので(参照:「またね、しらせ。。」)帰ってきてから転入届を出しに行った。
そして住民票をとると「南極から転入」と記載されていた。
なんてレア記載(♡)
そんな超非文明圏から転入してきた超おのぼりさんだけど、容赦なく日本の社会生活時間は進んでいく。
空を見上げるヒマもないくらい猛スピードで。。
だいじょうぶかな、、アタシ