さようなら、昭和基地

いよいよ昭和基地を去る日がやってきた。

 なんども、なんども撮ってきたこのアングルの写真も、

もう最後。

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 53次の時には、分厚すぎる海氷に囲まれ、しらせを寄せ付けなかった昭和基地。

しらせと昭和基地が同じフレームに収まるなんて夢にも思わなかった。

そんなしらせバックの昭和基地を嬉しがって撮りまくった去年、、、

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そして去年の2月に見たのは液体の海をバックにした昭和基地。

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 今年はそこまで大海原なオングル海峡を見ていない。

年によってこんなにも海氷状況は違うものなんだなと思う。

本当に、いろんな昭和基地を経験させてもらえてよかった。

 

でも、かわらず私を癒してくれた景色は、ピンクとブルーのグラデーションがたまらなく美しい空の下、ドロドロで懸命に人間活動してる昭和基地。

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 すんごい自然の中、ちっぽけな人間達が懸命に助け合いながら暮らしてる。

そこに傲慢さはなく、どうしようもないことの方が多い。

人間の力ではどうにもならない、自然への畏敬の念を感じる。

 

そんな中で、共に暮らした仲間達は一生の宝物。

53次の仲間達。

そして、59次の仲間達。

なかまの輪が広がった。

貴重な経験を山ほどさせてもらい、たくさんの出会いがあった南極観測隊での活動。

そんなチャンスに恵まれたことに、ただただ感謝。

 

さようなら、昭和基地。

 

思い残すことは何もない

といったら言い過ぎだけど。(^_^;

前回(53次)の時ほどは思い残すことがない。

 

53次の時には、できていないものが多すぎた。

自然エネルギー棟の屋根、風力発電、、

しらせが接岸できなかったことで色んなミッションが無念のまま終わった。

 

色んなものができあがった昭和基地をもう1度みたい!

この目で見てみたい!

 ずっとそう思っていた。

 59次でその夢が叶い、本当に感謝している。 

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 1年休職という無茶なことをさせてくれた関西大学、そして職場の方々の理解。

こんな無知な私にチャンスを下さった極地研究所。

「あんたが帰ってくるまで絶対に死なへん」と言って送り出してくれた86歳の母。

 色んな人のおかげで、人生の財産となる経験をさせてもらった。

 

南極で、見て、感じて、考えたことを

これからもいっぱい伝えていきたいと思う。

 

今度こそ、

さようなら、昭和基地。