ラッコちゃんに会いたくて

次の旅は、コモド島でコモドドラゴン!なんて思っていた。

しかし、海外旅行が絶望的な世の中になり、残念ながら旅の計画は早々からすべてキャンセル(>_<)

緊急事態宣言後の自粛生活では、ありあまった時間を使って、近所の公園や山に野鳥をよく見に行っていた。普段のようにただただ時間に追われる生活では、絶対に気づくことのできなかった身近な自然に目を向けることができた。

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学校が再開すると、そんなゆったりとした生活は一転し、遠出願望の募る忙しい普通の生活がまた始まった。

せめて夏に国内でも、どこかへ動物を見に行きたい願望がわいてきた。私の仕事の活力は愉しい旅の計画から始まる。忙しければ忙しいほど計画は大規模なものとなる傾向にあり、四カ月間1日の休みもない日が続いた2010年には1回目の南極行きを企み、2011年の第53次南極地域観測隊教員派遣で実行に至った。

やっぱ何か目標がないとがんばれない!と思い、今回は北海道旅行を計画した。目的はこれ。

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ラッコちゃん♡

 北海道の霧多布岬にラッコが繁殖しているというニュースを見て気になっていた。以前、アラスカへ行った時、流氷の合間にプカプカ浮かぶラッコの姿をめちゃくちゃ遠巻きに見て、ラッコってこんな寒いとこで暮らしてるんだなぁと思った記憶があった。日本でそんな野生のラッコを見ることができるなんて意外だった。 

霧多布岬があるのは、モンキーパンチの故郷、浜中町。こんなにのんびりした所で育って怪盗ルパンかと、それまた意外。

霧多布岬に到着すると、全体的にモヤ〜とした視界の中、火曜サスペンスばりの断崖絶壁が部分的に見え隠れしていた。大海原に浮かぶ豆粒のようなラッコを探すには絶望的な霧だった。

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とは言え、せっかく遥々来たんだから簡単に諦められない!と思い、岬の先で心眼をひらく。

海面にプカプカと休憩してる海鳥たちがまぎらわしい。

鳥なら位置をほとんど変えず、そこに浮いているだけなのだが、そんな定位置の海鳥とは違う動きをする物体を発見!とりあえずシャッターきりまくるけど、モヤモヤ視界の中で遠くの海面にチラッとだけしか写らないその様子はほぼネッシー級。

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カメラの確認画面で拡大しても、それがラッコなのかどうかは全くわからないレベルだった。

でも、何かいる!絶対いる!と信じ、2時間ほど岬でねばった。

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霧も少しずつ晴れてきて、いい感じになってきたその時!

また、海面に動く物体発見!

出たり潜ったりしながら進んでる!バズーカカメラで撮った写真を拡大してみると、、

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やっぱラッコぢゃ〜ん♡

けど、思っていたラッコと違う

やっぱ、ガンガン泳ぐラッコじゃなくて、プカプカ浮かぶラッコを見たい!

さらにねばった。

3時間ほどねばった末、ようやく現れてくれた期待通りのラッコちゃんがコレ。

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木で作った人形かなんか?

って思うくらい出来過ぎのザ・ラッコ!

この形のままずーっとしばらく浮かんで進み、たまにクルクル回りながら泳いだりもして、岬の先っぽの波がけっこうザバンザバンくるところまで移動していった。

そんな荒波の中いって大丈夫?!という心配を横目にガンガンと波に揉まれていくラッコちゃん。写真に写る姿はほぼ溺者。

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しかし、彼(彼女?)はいたって優雅に浮かんでるつもりっぽい。

オモロい。意外にオモロ過ぎた。

ホントに見れるのか全く確信もないまま行った霧多布岬だったけど、結果は大満足♡行ってよかった。

 

せっかく北海道まで行くなら、ヒグマも見に行こうと思い、知床ウトロで小さなクルーズ船に乗り知床半島の先っぽまで連れて行ってくれる三時間のツアーに参加した。知床半島の先っぽの方へはクマの調査を行う関係者や漁業関係者しか侵入することはできないため、一般人は観光船に乗って沖合から観察するしかない。まぁ、ヒグマに会うなら船の上からの方が安心して見てられるしね。

番屋と呼ばれる漁師さん達が使う小屋がいくつか並ぶ浜辺がヒグマをよく観察できるスポット。漁師さんも鮭ねらい、ヒグマも鮭ねらい、お互いが暗黙の了解の中、共存しあって過ごしているとガイドさんが話していた。小屋に近づいてくるクマを漁師のおっちゃんは

「コラ〜!!」

とデカい声だけでけちらすらしい。最強だ。

この日も小屋近くの浜で、石の下に隠れるエビなどのエサを探す三頭のヒグマ親子を見ることができた。

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ヒグマさんも見ることができたし、景色も絶景だったし、めちゃくちゃ充実したクルーズだったんだけど、とにかく寒かった。ウトロのこの日の最高気温は20℃程度だったが、ずっと風をうける船上での体感気温は10℃くらいだったと思われる。日本各地で40℃に迫る酷暑日ではあったが、同じ日本で「寒い!」連発できたことはシアワセだった?のかな。

 

涼しい北海道から飛行機で関空へ降り立つと、夜だというのにお湯のような空気。同じ日本とは思えなかった。

まだまだ大阪は当分あの爽やかな空気感にはならなそうだな。