VLBI

2月1日は観測隊にとって特別な日。
越冬隊は1月31日まで責任持って昭和基地を守り、2月1日をもって次の隊にそのバトンを渡す。

53次の時、ただのギャラリーとして見ていた越冬交代式とは、今回、気持ち的に全然重みが違ってた。身の引き締まるおもいという言葉がホントぴったり。
任せて下さい!と自信満々に言いたい所だけど、まだまだ不安でいっぱいなのが正直なところ。地圏モニタリングとしての仕事は、58次のN元さんから本当に何から何まで丁寧に教えていただいたのだが、あと6日〜7日にVLBIという観測が残されていた。
越冬交代式後、越冬隊は何もなければヘリに乗ってしらせへ移動するのだが、引き継ぎ等で、まだ支援をお願いする必要のある方だけが残留組として基地に残る。N元さんにはホント最後の最後まで残留支援をお願いしていた。本番の観測を進めながら、なんとかN元さんのいる間にマスターしなければ、、、

ちなみにVLBIとは、測量用語辞典によると、、
「Very Long Baseline Interferometry の略で、はるか数十億光年先にある電波星から出される電波を、複数のアンテナで同時に受信し、その到達時間差を計測する技術である。この原理を使って、アメリカと日本の間など長距離をcmの精度で測量できるようになり、大陸移動などの大規模な測量も行なっている。」
なんか、教科書にのってて、しったかぶりに授業で話してたような内容だ。
実際の観測に携わることになるとは恐れ多すぎる。

今回の観測は南半球にある8カ所の観測局で同時に行われるものだった。24時間の連続観測が30分の間をはさんで2回行われるスケジュールで、ほぼほぼ48時間の連続観測だ。1つの星に電波を送ってから次の星に電波を送るまで、それぞれ数分ずつのインターバルはあるのだが、1つ1つチェックしていると仮眠しているほどの暇はない。かつて梅田のclub KARMAや京都のclub METROで夜通し遊んでたことがこんなところで役にたつとは思わなかった。とは言え、今回は夏隊の皆さんもたくさん支援で来て下さっていたので、交代で数時間くらいの仮眠はとらせてもらった。越冬中、いねむりせずしっかり観測しなければ。
観測のはじめと終わりには、NASAに報告メールを出すらしく、メールのひな形も引き継ぎ資料としていただいた。まさかNASA宛てにメールを出す日が来るとは思わなかった。
ま、返事来なかったけどね。
ちゃんと見てんのかな、NASA。