地球の裂け目でダイビング

去年の夏のアフリカ旅行中、恐怖のザンベジ川ラフティング(参照「ザンベジ川で濁流にのまれるの巻」)を共に生還した日本人男性Kさんから、アイスランドでダイビングをした話を聞き、「あたしも泳ぎたい!」って思いを沸々とあたため続けてきた。
ドライスーツは南極で着たことはあったものの、ダイビングライセンスも持っていなかった私は、まず今年の2月に冷たい和歌山の海でライセンスを取得。
高校卒業したての二人組と、大学卒業したての二人組に、馴染むわけのない40過ぎのオバハン1人混じって、いまさら感たっぷりに頑張った。
ただ、ただ、アイスランドで潜るために
和歌山では、不本意ながらドライスーツ水没体験もした。
レンタルのドライスーツはちっちゃいオバハンの首には全くフィットせず、首からジャージャー2月の冷たい海水が進入。たちまち全身に染み渡り、残念ながらドライスーツは速攻ウェットスーツ化していった。
マンガでしか見たことないくらいに下アゴのガクガクが止まらず、まぢ泣きそうだったけど頑張った。
ただただアイスランドで潜るために!

昨日歩いたシングヴェトリル公園内の遊歩道のすぐ側に、シルフラと呼ばれるダイビングスポットがある。
ギャオ(地球の裂け目)に氷河のとけ水が流れ込んでいるところだ。
氷河のとけ水は岩石のなかを流れて自然に濾過され、結果としてハンパなく澄みきった水がギャオの隙間をうめている。
冷たく美しい水面がダイバー達を誘っていた。

シルフラの水温は年間を通して平均2〜4℃らしい。
アイスランドで水没は絶対に避けたい。
和歌山の水没体験で死にそうな思いをしたことから、首からの水の進入を防ぐというシリコンでできたネックシールも日本で購入していった。

幸いにも、この日の気温は13℃くらいで、太陽の光もあたり風は弱め。体感的にはあたたかめだった。

エントリーポイントから少し離れた広場でドライスーツに着替える。
中に着るドライスーツ用のつなぎのインナーも貸してくれた。
ちょっと安心。
そして、インストラクターのお兄ちゃんも優しそうで男前
ちょっと安心。

下は裏起毛タイツ+スウェット、上はババシャツ+フリース、その上からレンタルのドライスーツ用インナーを着てドライスーツを着込むと、もぉ身動きとれないくらいモコモコで汗が出てくるくらい暑かった。
そのモコモコを水中に沈めるため、普通のウェットスーツダイビングでは考えられないくらいのウエイト(おもり)をつけられる。
装着した気分は、まるで星飛雄馬
バレーボール選手みたいにでっかいインストラクターのイケメン巨人ジョーは、優しい顔して無情にもどんどん重いものを装着させてくれる。
まるで星一徹
私の他、同じグループにいたダイビング参加者は、これまたでっかい二人組のお兄ちゃん。
酸素ボンベまで全部とりつけ、軽々と歩いていこうとする巨人3人。
ちっちゃいオバハンは立つこともできず、マンガみたいにジタバタ状態(>_<)
ジョーにボンベを持ち上げてもらい、首根っこつかみあげられた猫みたいに、やっとのおもいで立ち上がる。
チョー突風の中を突き進む感じで前かがみにならないと、色んなものが重すぎて支えらんない(>_<)
足を引きづりながら、ちょっとずつしか進めない(泣)
汗だく状態で必死に巨人達のあとを追った。

やっとの思いでエントリーポイントまでたどり着き、マスクを渡される。
日本なら、チューブに入った曇り止めの液体をインストラクターがつけてくれたりするものだけど、さすがアイスランド!
ワイルドに皆、「ぺっ!」
っておもいっきりツバはいて指でキュっキュしてる。
あたしが指にツバつけてキュっキュしてると、そんなんぢゃダメだよ風にジョーがカッコよく

「ぺーっ!!!!」

まぢか。

多少ひきながらも、
くもんないため、くもんないため、、
自分に言い聞かせる。

水中までは階段になっていてエントリーしやすい。
浮力バンザイ!
星飛雄馬感から少し解放され、美しいシルフラの水でジョーのツバも洗い流し、無事にマスクも装着。
さっきまで汗だくだったし〜
思ったほど寒くないし〜
重くないし〜
チョー水きれい!!
快適かも♪

浮力チェックしながら、さらにウエイト追加される。
でも水の中だから全然重くな〜い♪

顔は一瞬冷たかったけど、入ってしまえば全然へーきだった。
それよりなにより、チョーきれい!!
ただ、いろんなもの取り付けられて浮力調整しにくくて、ジョーがジェスチャーで
「浮力調整じぶんでできる?ボクがしようか?」的なこと言ってる風だったので、ぜんぶジョーに任せることにした。
ダイビングコースは、けっこう深い所からめちゃ浅い所まで様々だったことから、上手く浮力調整しないと、深い所から浅い所に行くとき進みにくい。
うまくバランスとれなくてバタバタしてると、背後からジョーに「おとなしくしなさい」的に両足をギュって揃えさせられる。
終始ジョーに操られてる感じ。
マスクがちょっとデカくって、耳抜きするたびにちょっと水入ってくる感じもするし、けど、いまさら戻れないし、、
もぉ進むしかない!
キレイなんだけど、けっこう余裕ないままにジョーに操られながら進んでいく。
所々で藻みたいなのが舞ってくるのは、(たぶん、おおかた)私や他のダイバーのバタ足で岩石からはがれた藻。
動物らしきものはダイバー以外まったくいない。
ゴツゴツとした岩の間の青い空間を飛んで行ってるみたいだった。

余裕なくてダダ撮りしたシルフラ水中動画ノーカット↓
https://youtu.be/FA6LqQtwFY0

ゴツゴツした岩の間を過ぎた最後には、広く開けた空間があり、太陽の光に照らされてキラキラした水面が底の砂に影を作ってゆらめいている。
きれい。ホントきれい。。
ただもぉしんどくて(>_<)
もっといたいという気持ちより、はやく楽になりたいという気持ちの方が勝っていた。
ハンパない透明度で、だいぶ先にある階段も見えている。
もっと泳ぎなよ的なジョーには悪いんだけど、もぉあたしはあの階段を目指したいんだよー(>_<)

やっと階段までたどり着き、フィンや多少のウエイトをジョーがとってくれ、やっとのおもいで上陸。。
重い!
ただただ重い!
いろんなものが水をすって、入水前より更に重い!!(>_<)
ジョーが「ボンベおろす?」的な感じで聞いてくれたけど、最後の力を振り絞ってジェスチャー。
「じぶんでいく」
軽々と歩いていく巨人ジョーのはるか後ろをちっちゃいオバハン必死でトボトボついていく。
写真だけ撮りにウロウロ散歩してる観光客みんなが私を心配そうに眺めていた。
まったく自分で泳いだ感もなく、しょうじき自信失い気味で、最後くらい迷惑かけず自分で歩いて戻りたいというしょーもないオバハンのプライドだけで数cmずつ進んでいった(イメージ)。

最初のエントリーポイントまで歩くのもたいがいしんどかったのに、泳いで進んできたぶんも更に歩いて帰らなければならない。
もぉ拷問に近いものがあった。

足の付け根が痛くてたまらない。
一歩が前に出ない感覚。
やっとのおもいで広場までたどり着き、ジョーに星飛雄馬矯正ギブスを全部とってもらって生き返った!
出るのはため息ばかり。。

サンキュー!(T_T)

命の恩人ジョーにお礼を言い、自由になったカラダでその場を後にした。
カイロなんかも準備していたけれど、まったく寒くはなかった。
それよりなにより疲れた。
めちゃめちゃ疲れた。
周りを見渡すと、こんなちっちゃいオバハン他にはいなかった。
とりあえず頑張ったと思う。
めちゃめちゃキレイだけど、若いウチに行くことをお勧めしたい。
しんど過ぎる(T_T)。

3日ぐらい遠泳したんじゃないかってゆうくらい疲れきったカラダにむち打ち、友人Mちゃんの待つレイキャビクの街へ戻り、そこからまた次の目的地、初めての西部アイスランドを目指し出発した。