ストロマトライトに会いたくて

今から約46億年前、地球は誕生した。
そして、今、この地球上にある酸素は最初からあったわけではなく、光合成をする生物があらわれたおかげで増えだした。
今から約27億年に大量発生したと考えられているシアノバクテリアは、昼間に光合成活動して酸素をたくさん作り出し、夜には粘液を出しながら休息する。その粘液でまわりの泥や堆積物を沈着させ、また昼になると光合成活動をする。
この繰り返しによって少しずつ固定されていった堆積物はやがて岩石のような塊となっていく。
こうしてできた塊がストロマトライトだ!

かつて地球上のあらゆる場所に存在していたであろうストロマトライトは、自身が作り出した酸素のおかげで進化していった他の生物たちに住処を追いやられていった。
化石としてのストロマトライトはいろんなところで見つかっているが、生きたシアノバクテリアが今も活動しているストロマトライトは、現在オーストラリアのシャークベイにあるハメリンプールという場所でしか見ることができない。
オーストラリアには何度か訪れたこともあったが、このハメリンプール、、
ちょいと観光ついでに立ち寄るには難易度の高い場所にある。
パースから900kmくらい北に位置し、パースから飛行機を使ったツアーもないわけではないが、それだけで軽く10万円以上はする。
運転免許のない私としてはドライバー(旦那)なしでは絶望的。昨年の正月はドライバー(旦那)の急な入院で断念した旅だった。

5年前、南極へ行ったとき、砕氷艦「しらせ」がフリーマントルに停泊している間、なんとかハメリンプールへ行けないか調べてはみたのだが速攻で断念。その時には、ストロマトライトの近縁種であるスロンボライト(参照:スロンボライト)を見に行った。
しかし、やっぱり本家本元ストロマトライトが見たい!という思いは消えないままでいた。

長年思い焦がれたストロマトライトを見に行くまでの道中には、大学の卒業旅行で20年ほど前に訪れたピナクルスがあった。20年前のことなどひとつも思い出すことなく新鮮にはしゃぐ。

ピナクルスを過ぎた辺りでは、夏の旅行で訪れた赤い砂漠(参照:やっと砂漠!の巻)とは対照的な白いランセリン砂漠観光。

1泊目の宿で偶然みつけた観光案内パンフレットの写真に惹かれて行ったピンクレイク観光。

貝殻だけでできた真っ白な砂浜、シェルビーチ観光。

お金出してヒョイと飛行機で行ったのでは味わえないオマケ観光もたくさん愉しめた。
ドライバーに感謝。。

走っても走ってもひたすら地平線の先に道が続くオーストラリアの広大さ、、ほんとにスゴイ。

帰りの飛行機からは、その広大なオーストラリアに広がる赤い大地を見ることができた。

約27億年前、シアノバクテリアが大量に作り出した酸素は海中の鉄分と反応して赤さびとなり沈殿していった。それらは縞状鉄鋼層と呼ばれる赤いシマシマ模様の地層となって現在見ることができるということ、教科書にも載っているし授業で教えてはいるけれど、実際に自分の目でストロマトライトを見た後、この赤い大地を目にすると深い納得と感動を得ることができた。

感慨深い呼吸をしながら帰路についた。