ヒト! フルーツ♪ キャベツ、、、

9日、ついに32人以外のヒトが昭和基地にやってきた!
60次の先遣隊10名が飛行機に乗ってやってきたのだ。
飛行機は昭和基地の沖合に作られたオングル国際空港に降りてきた。

エアポートリムジン(雪上車)5台でお出迎え。
海氷の上で待つこと約50分。
うろこ雲の彼方に飛行機が見えてきた!
無人島に取り残されてから初めて来た飛行機を見るような気分。(ほぼほぼシチュエーション的に間違ってはいない)

きた〜!!!

みんな大興奮。

なにせ鳥さえも飛んでる姿をながらく見ていない空に、いきなりデッかい鉄の塊が飛んできたわけだ。
そして、2月以来32人のヒトしか見てこなかったのに、飛行機を運航してくる4人のカナダ人クルーを含めると、いきなり14人ものヒトに対面するわけだ。
ワクワクドキドキもんだった。
降りてきた先遣隊の人達への近づき方もどことなくぎこちなかったような気がする。
少し遠巻きにウェルカムボードを振りながら、ゆっくりと飛行機に近づいていった。

大人にして人見知りかっ
と自分にツッコミながらも、どんどんと飛行機から降ろされてくる積荷を皆で橇(そり)へと運ぶ。
その荷物の中には、嬉しいお土産も含まれていた。

約半年ぶりの生野菜と果物だ!

オレンジ、プラム、洋ナシ、バナナ♪
缶詰以外のフルーツだ〜♪

しかし、不思議とキャベツに感動がない自分がいた。
越冬すると千切りキャベツが食べたくなるよと聞いていたんだけど、まったく自分はそうならなくて、、、
ここに来て初めて、わたしは野菜がそんなに好きではないようだということを認識した(^_^;
確かに、キャベツ食いてぇ〜!と言っている隊員は多かったので、翌朝キャベツの千切りとカットフルーツが朝食に出てきたけれど、私はキャベツの千切りをスルーした。
洋ナシ、ウマかった♪

先遣隊の内ドームふじ基地への旅行隊2名が、59次の支援隊メンバーと一緒に朝食後すぐ先発隊として旅立っていった。
そして、カナダ人クルー4名もあっという間に飛行機で飛び立っていった。
それから夕方に出発予定のドームふじ基地旅行隊の準備にとりかかった。
大量の食料を冷蔵庫から皆でバケツリレーして橇(そり)へと積み込む。
食料橇、トイレ橇、燃料橇、、、いろんな橇を連結して準備する。
準備も整い、ドームふじ基地への旅行隊本隊が出発していった。
59次からはk村さんと山Dマン、プラス先遣隊のうち残り6名のドーム隊が約3ヶ月の長旅へと出発した。
昭和基地から約1000km離れた内陸の地で掘削を行い、深層の古い氷を採取することで太古からの気候変動を探るという壮大なプロジェクトの旅。
昭和基地から出発していった10名のドーム隊に加え、南極大陸のルート上にノルウェーからの研究者2名が飛行機で降り立ち雪上車に便乗するらしい。
究極の待ち合わせだな。
すげ〜。

久々の「ヒト」だったんだけど、なんだか嵐のようにやってきて嵐のように去って行ったという印象。
そして、先遣隊10名の内2名はオングル島周辺の地質調査が目的でやってきたため、これからも昭和基地で一緒に暮らしていく新しい仲間だ。
そしてそして、12月になると、またドッサリと知らない「ヒト」が増える。
この人見知り感、なんとかしとかないとなぁ。。

流しそうめんvs仮眠

前回と立て続けにブログ更新できているのは、VLBIで夜通し起きてるせい。(参照:「VLBI」
今回のVLBIは48時間連続観測。

長い。
長いのだ。。

多目的アンテナ隊員のO石さんとゴハン毎にワッチを交代しながら睡眠をとるシフトで今回はやってみた。
スタートは夜の8時半なので、スタートから22時頃までは2人でワッチ。
それから1人は睡眠、もう1人は朝ご飯までワッチ。
メシ後に交代。
そんな感じでシフトを組んでみた。
私は、「初日の夜は普通に寝る→翌日の午前ワッチ→午後仮眠→その日の夜は夜通しワッチ」というシフトにあたっていた。
そして、ちょうどアイスオペレーションという作業が先週末のブリザードの影響でずれ込みVLBI2日目の午後に入った。
アイスオペレーションとは、お土産用に日本へ持ちかえる氷を氷山にとりに行く作業。
南極ではこれといって持って帰れるお土産がないのだが、氷だけは各隊員に割り当てがある。段ボールに詰め込んだ氷はリーファーコンテナという大きな冷凍庫みたいなものに入れて持ち帰る。
そのアイスオペレーションのついでに氷山で行われる恒例行事が「流しそうめん」だ!
氷山のなだらかな斜面の部分に溝を作り、上からそうめんと水を流すらしい。
話には聞いていたので、メチャクチャたのしみにしていた行事。
しかし、、、
そのアイスオペレーションの時間帯はちょうどVLBI午後仮眠のシフト時間だったのだ。

悩ましい。。

寝なければいいだけの話だけど、午後仮眠を完全にパスして本当に夜通し起きていられるのか不安になり、苦渋の決断としてアイスオペレーション&流しそうめんをパスすることにした。
30代の私なら迷わず寝ない選択をとっていたと思う。
朝までClubで遊び、そのまま出勤なんて普通にやってたことだけど、40過ぎて疲れが後を引くようになり、ホント朝までオールがキツくなってきたのだ。
そんな守りの判断が後悔をまねいた。

昼食後、みんながアイスオペレーションに出かけていくのを横目に見ながら部屋に戻り、布団に入ってはみたものの、、、

眠れない。

気になり過ぎて眠れない。

VLBI観測の方で何かあった場合のためにも、無線は切らずにボリュームだけを絞って部屋に置き布団に入っていた。
無線から聞こえる氷山へ向かう人達のやりとりや状況、、、
想像膨らみ、全く眠れないのだ。

仕事で基地に残っていた気象隊員やVLBIワッチ中だったO石さんを氷山から迎えに来る便があるとの無線を傍受し、たまらず「やっぱり私も行っていい?」と無線のやりとりに参加した。

アイスオペレーションも手伝わず、流しそうめんだけを愉しみにスノーモービルで氷山へ向かう。まったく自己都合も甚だしいm(_ _)m

段ボールを積み込んだ橇を引っ張る雪上車とすれ違いながら、流しそうめん会場の氷山へ到着。
アイスオペレーション&流しそうめん行事を終えた隊員達は後片付けもあるので先に基地へ帰り、数名の流しそうめん会場設営隊員たちが上流でそうめん持ってスタンバイしてくれていた。
ありがとうございますm(_ _)m

到着するやいなや、つゆと割り箸が渡され、氷山の流しそうめんレーンへと移動。

溝の両側には足場も彫り込まれており、ツルツルの氷山でそうめんと共に滑っていくことがないように配慮されたつくり。
氷山の溝を流れてくるそうめんはキンキンに冷えて美味しかった♪
下流に流れてスルーしていったそうめんは建築隊員Hさんが、すかさずわしづかみで「これすでに5周目くらいのそうめんですから」と言いながら上流へと運んでくれる。

オモロい。
オモロ過ぎる。
来てよかった♥

そうめんレーンの隣にはかき氷会場もあった。

そうめん食べた後は氷山滑り。

ほんとツルッツルで登るのもままならない。

すっかり満喫♥

けっきょく、ほとんど仮眠ゼロのまま夜のVLBIワッチに入ったけど、愉しくてテンション上がったためか不思議と眠気は来なかった。結果、ブログ2本も更新!

懐かしのきざはし浜と袋浦

もう11月か。
日本は紅葉がキレイな季節だろうなぁ。
色とりどりの四季を懐かしく思いながらも、今ここでしか感じることのできない世界をありがたく愉しんでおります。
だって、家の近所にペンギンなんて歩いてないもんなぁ。

先週はGPS測器保守のため10月31日から1泊2日で、きざはし浜という昭和基地から70km程離れた露岩地域へ出かけてきた。
きざはし浜は53次で来た時にも湖沼調査に同行させてもらって来たことがあるので6年ぶり。
雪上車で5時間半ほどドライブしてやっと見えてきたきざはし浜は、遠くから見ても何となく見覚えがある地層で小屋の場所の見当がついた。きざはし浜の小屋は目の前が海なのでトイレは海で済ませていた。用を足しながら眺めていた斜めの地層が脳裏に焼き付いていたようだ。

きざはし小屋から海の方を眺めると大きな絶壁の山「シェッケ」が見えていたのもよく覚えている。
きざはし小屋へ行く前に、そのシェッケの近くまで雪上車で行ってみた。
海が凍っているからこそできる、夏では考えられない絶景だった。
反対側から見るとたいしたことない感じなのだけれど、、、

近すぎると全景が写らないほどのスケール!
絶壁の上の方に真っ白なユキドリが飛んでいるのも見られた。
あんなとこに巣があるんだ!!ビックリ。。
そんな絶景寄り道もしながら、夕方頃きざはし小屋へ到着。
GPS測器は小屋のすぐ近くにあった。

GPS保守も済ませ、夕飯も食べた後、まだ日も明るかったので小屋から歩いて鳥の巣湾という場所にあるペンギンルッカリーを見に行った。

1時間ほど歩いて鳥の巣湾にたどり着くと、小さな可愛らしいルッカリーが見えてきた。

まん中にある石にはボス(?)ペンギンが居座っている。

ルッカリーの手前には用心棒っぽいペンギンもいてオモシロい。
のどかな集落を見て癒されたけど往復2時間ちょっとのお散歩はけっこう疲れた。
小屋へ戻る頃にはすっかり日も暮れ、かろうじて夕日に照らされた赤いシェッケが美しかった。

翌朝、出発前に6年前の記憶をたどりながらきざはし小屋付近を散策した。
このあたりには湖がたくさんある。( 参照:「いのちのバトンタッチ」 )
湖の周辺を歩いた記憶はあったけど、その湖も凍っているのでショートカットできてしまう。

凍った湖面にはいっぱい割れ目の模様があって芸術的だった。

下から湧き出てきた泡が凍ったような模様も見られた。
この下にコケボウズがいるのかな〜と考えながら、ツルツルの湖面をへっぴり腰で歩いた。コケボウズというのは、この辺の湖底に見られるコケと藻類が共生し合った塊。(参照:「なまず池」
53次の時しらせで同室だった田邊優貴子さんにコケボウズの写真や動画を見せてもらったことがあるけど、ホントこの南極の湖の底であんな緑豊かな世界が広がっているのかと思うと不思議だ。

そんな魅力的なきざはし浜をあとにし、昭和基地への帰路についた。
途中、お昼ゴハンにカップ麺とお湯を準備していたのだけど、車内で食べようとしたとき箸を忘れたことに気が付く。
仕方ないので帰り道で立ち寄れそうな観測小屋を考えたとき、ペンギンルッカリーのある袋浦が思い浮かんだ。
私の大好きな場所だ。(参照:「ペンギン保育園」 )
懐かしのアップルハット。

アップルハットの隣りにある白い真四角な小屋(通称「とうふハット」)の中に食器類が置いてある記憶があったのだけど、きれいさっぱり何にもない。
腹ぺこでやっとたどり着いたのに箸はなく、餓えた目に飛び込んできたのは小屋の横に落ちていた竹竿だった。
その竹竿を割って裂いて、ささくれだらけの箸ができあがり、なんとかメシにありつけた。

ワイルドな食後、ついでに袋浦のペンギンルッカリーも見ていくことにした。
袋浦は100個以上の巣があるわりと大きなルッカリー。

ちょうどペンギン達は巣作りの真っ最中みたいだった。
小石をクチバシでくわえて地道に1つずつ運んでくる。
気の遠くなるような作業だ。

他人ならぬ他ペンギンのいっぱい集めてきた小石を盗むコソドロもいる。
バレバレな盗み方するもんだから、そこかしこでケンカが勃発する。

ほんと見ていてオモシロい。

まだ小石1個めのペンギンくんも、こしゃくなコソドロペンギンくんも、がんばってステキな巣作りして、かわいいヒナが産まれるといいね!

春のおとずれ

またまた、あっという間に時は過ぎ、、
気がつけば10月ももう終わりに近づいてきた。

最近ホントに暖かくなってきた。

と、思う。

まぁ、暖かいといっても−13℃くらいなのだけど。
大阪でもし−13℃なんて言ったらカイロ貼りまくり着込みまくりで超気合い入れないと外出しないだろう。
慣れとはコワいもので、−20℃くらいでずっと過ごしてくると、−10℃台がホントあたたかいと思えるのだ。
支給の羽毛服がとても暖かいので、最近はその羽毛服だと汗だくになってしまうほど(^_^;
南極は季節感が少ないというけれど、ちゃんと春が来てるんだな〜と感じる。

アザラシの赤ちゃんや営巣地へ向かうペンギンの足跡も春を感じる要因のひとつ。
まだへその緒がついた小さな赤ちゃんアザラシと巨大な母ちゃんアザラシ。

そばに胎盤もあって、その胎盤にありつこうとするナンキョクオオトウゾクカモメもいた。
トウカモも久しぶりに見るとなんか嬉しかった。
母ちゃんアザラシの体長は3mくらいあって、ほんとデカい。
母ちゃんアザラシは迫力満点だけど、赤ちゃんの顔つきはやっぱりどこかあどけなく、とってもキュート♥

昭和基地の周りでもペンギンの足跡が最近よく見られる。
どこにペンギンが飛び出してくるような海氷の割れ目があるのだろうかと不思議に思うほど見渡す限り真っ白な海。
そんなだだっ広い凍った海の上をトコトコと歩いてきたんだろうなと思うと足跡だけでもけなげで可愛らしく思える。

ペンギン達はこの時期になると産卵のため遙々自分の営巣地まで帰ってくる。
こんなだだっ広い大自然の中でGPSもなく自分のオウチを覚えててちゃんと帰ってくるなんてスゴイな、ペンギン。

そんなペンギン達に会いたくて、、
土曜日の午後、ペンギンルッカリーのあるまめ島まで散歩に出かけてみた。
往復で12km強の道のりだったけど、雪深いところではズボズボと足をとられ、思いのほか疲れた。
雪面に残されたペンギンたちの足跡に励まされながら片道2時間ほどのウォーキング。
まめ島近くでは1羽でトコトコと歩いている子も発見!
そして、まめ島に到着すると

おる!おる!

めっちゃ、おるや〜ん!


みんな産卵のために栄養をたっぷり蓄えてきてるので夏に見るアデリー(参照:「成長してる!」)とは見違えるくらいプクプク〜!

営巣地に帰ってきたペンギン達は繁殖中エサを食べずに過ごすらしい。
そりゃ、簡単にあの道のりを行き来できないよなと思う。
産卵を終えると抱卵をオスに任せ、メスがまずは海までエサを食べに行くらしい。
結果としてオスは1ヶ月以上も絶食状態で頑張るみたい。
そりゃ、プクプクにしとかないと身が持たないよね。

恍惚のディスプレイ↓

巣の準備ができたオスがメスを呼ぶアピールらしい。

夏のアデリーでは見られなかった抱卵斑もハッキリとわかる。

抱卵斑は卵を温めるための部分で、羽毛がなく皮膚が露出した部分。
まん中に穴の開いた腹巻きをしているような、、、
お腹にそんな部分があって寒くないのかなと心配になるけれど、、、

春の出産ラッシュが始まり、これから卵がかえって小さな赤ちゃんペンギン達が誕生する。
そうして、また夏がやってくるんだなぁ。

ペンギンに会いたい

日の出:4時31分
日の入:19時48分
最近ほんとに夜が短くなってきた。
日の入りは20時前だけど、高感度で写真を撮ると空がいつまでも明るく写ってしまって0時前後でないと夜空っぽい写真にはならないくらいになってきた。
オーロラは出ていても、空が明るいとキレイには見えない。
いよいよ、オーロラ鑑賞も終わりの季節になってきた。
8日の夜0時半頃に見たブレイク↓

これで見納めくらいかなぁ、、、


先週は、福島隊員の慰霊祭で西オングル島へ行ってきた。
第4次隊で福島隊員(参照:「関西大学と福島隊員」)が遭難したのは1960年10月10日だったことから、毎年10月には福島隊員の慰霊祭ということで、遺体が発見された西オングル島(昭和基地から4kmほど南西)へ隊員達でお参りに行っているようだ。
あいにく10日は悪天候で予定されていた慰霊祭は延期となり、12日の午前と午後にわかれてお参りに行った。
遺体発見場所に立つケルンは、遠くに氷山が見える眺めのキレイな場所にあった。

順番にお線香をあげて手を合わせた。
この日は天気もよく風もおだやかで、とても人を遭難させるような南極を感じない1日だった。

参拝後、お隣りにある「まめ島」へお散歩に出かけた。

まめ島にはペンギンルッカリー(ペンギンの営巣地)があり、つい先日のルート工作では気の早いペンギンが1羽だけいたそうだが、この日は1羽も見られなかった。
誰もいないペンギンルッカリーだったけど、糞の臭いだけはちゃんと残っていた。
もうしばらくするとペンギン達が上陸してきてガーガーと賑わうことだろう。
しかし、よくこんな上までわざわざ登ってくるよなと感心するような所に巣があってビックリする。
あんな短い足で、しかも手はつけないし、不安定そうだし、、
そういえば、6年前に袋浦で見たペンギン達の中でもやたら山に登ってたペンギンいたなぁ、、、



そんな頑張り屋さんのペンギンたちにはやく会いたい。

会いたい、、、
といえば

昨日、中継拠点旅行隊6名が約1ヶ月ぶりに昭和基地へ帰ってきた!
とっつき岬まで6名を迎えに行く雪上車は、(試験管と電球で作った手作り)シャンデリアや(布団をかぶせただけ?の)ソファーでくつろぎの空間を演出した超豪華な内装と、外装にもデコレーションをあしらった特別仕様のSM414!

約1ヶ月間熟成された6人に、鼻をつまんで「おかえり〜!」と言いにいくと、逆襲のハグを受けビビる場面も。。
約1ヶ月ぶりのお風呂、さぞかし気持ちよいものだろう。
夕食は、久しぶりに32人そろっての焼肉パティー♪
賑やかで楽しい週末だった。

怒濤のような測器設置週間

9月にもう一回くらいブログの更新もしたかったんだけど、そんな余裕もいっさいないまま…
いつの間にやらもう10月。

極夜前からすっかり姿を見なくなっていた動物たちも、姿をみせはじめた。

ヒト以外の生き物をひさしぶりに見た気がする。
ほんと31人のオトコ達しか見てなかったので、カワイイあざらしちゃんにめっちゃテンションあがった。(31人のオトコ達も十分カワイイのですが(^_^; 、、、)

そんなカワイイ姿に癒されながらも、9月末は測器設置の連続だった。
その準備や野外オペレーションであっという間に毎日が過ぎていった。

ふりかえり〜怒濤のような測器設置の日々〜

まずは9月28日、
昭和基地からスノーモービルで海の上を40分くらい走り、オングルガルテンという小高い丘くらいな感じの島の頂上にGPS測器を設置しに行った。

そこまで標高が高い訳でもないけど、近くの氷山や遠くの露岩帯、対岸の南極大陸を見渡せる感じの眺めがとってもステキな場所。
あいにくの曇り空で真っ白だったのに、それでも眺めは良いと感じたので晴れた日にくるとサイコーだろうな。
オングルガルテン設置を午前中のうちに済ませ、頂上でランチ。
その足で左島という場所まで、更にスノーモービルで50分くらい移動。
左島の側の海氷上に、海氷の動きを調べるための海氷ブイを設置した。
ブイといっても海の上に浮いているわけではなく、凍った海の上にアイススクリューで固定して設置する。
ソーラーパネルつきで、バッテリーやGPS受信機が中に入っており、アンテナも一体型。
ちょっとデカめな毒キノコみたい。

ソーラーパネルからの発電があるので、日が長くなってきたこの時期だとバッテリー交換もなしで稼働し続けてくれる。
回収は約1ヶ月後。

9月29日〜30日は、
1泊2日で南極大陸上のS19という場所へGPS測器を設置しに行った。

回収は約1ヶ月後。

そしてこのオペレーションは、S19の近くのS17という場所に滑走路を設置しに行くというミッションとの複合オペレーションだった。
昭和基地は南極の中でもドロンイングモードランド地域と呼ばれる地域にあり、夏になるとこれらの地域に基地を持つ11か国の国際プログラムとしてドロムランという航空網が活動をはじめる。
アフリカと南極大陸、そしてドロンイングモードランド地域内を飛行機が運航するのだ。
我々59次隊でも昨年11月に18人が先遣隊としてドロムランで昭和基地に到着した。
そのドロムランの飛行機が降りるための滑走路は、毎年11月前にS17という場所で雪を平らにならして作る。
今回は、その位置設定をするというミッションだった。

100m×1000mの長方形を何の目印もない雪原に作るのはなかなか至難の業。
100mごとに旗を立てるんだけど、今立てた旗から次の旗までまっすぐに歩いてるつもりなのに、振り返って後ろの旗を見てみるとぜんぜん真っ直ぐじゃなかったり、、
ちゃんと長方形になってるのかデカ過ぎて見渡せないし。
とぼとぼ旗持って歩きながら、完成まで3時間くらいはかかった。

S17は高台にあって海が見える。
海と言っても青い海ではなく、真っ白で氷山の散らばった海だけど。
言わばここは海の見える飛行場。
というとデートスポットによさげ。

S17は南極大陸の上にあるので昭和基地よりも標高が高く気温も低い。
この日は風もなく天気もよかったので過ごしやすかったけど、−36℃だと自分の吐く息がみるみる凍って顔中つららだらけだった。


10月4日は、
ラングホブデと呼ばれる露岩域の雪鳥沢という場所にGPS測器の保守作業をしに行った。
雪上車で片道3時間ほどの道のり。
この日も天気がよくて絶好のドライブ日和だった。



海の上にルート旗が立てられており、その旗を目印に雪上車で走っていく。
ルート工作で作られたシュプールがあったので、それが海の上にできた道路のようだった。

ラングホブデまでの道のりの途中には、53次の時にペンギン調査の取材で度々泊まらせてもらったアップルハットも見えた。わたしの大好きな袋浦だ。(参照:「ペンギン保育園」

あざらしには出会えたけど、まだペンギンの姿は見ていない。
そろそろ初ペンギンの時期かなぁ♪

測器回収とアジフライ

土曜日、前回のブログでも紹介した向岩に設置済みの測器回収に行ってきた。
設置した時は、気温−26℃、快晴。
気温は低かったけど、ほぼ無風だったので設置作業はホントしやすかった。
今回は、気温−9℃、晴れ、、、
というと、前回よりも快適に聞こえるかもしれないが、とにかく風が強すぎた。
昭和基地付近のデータでは風速13m/s程度だったけど、向岩は南極大陸から吹き下ろしてくる風をまともに受ける場所なので、きっと13m/sどころではなかったと思う。
雪上車をとめて観測地点まで歩いて向かうのも一苦労。
風に吹っ飛ばされそうになりながら、風にもたれかかるように歩いた。
なんとか測器を回収し、歩くだけでも精一杯な私の代わりに支援でついてきてくれた2人の隊員が重い測器を持ってくれて助かった。

途中さすがに疲れて岩陰で少し一休みしているときの動画がこれ。



天気はよかったんだけど、とにかく風がすごかった。
ま、南極っぽいといえば南極っぽい。

なんとか雪上車までたどり着き、雪上車の中でいっぷく。

卒業生N口くんから餞別でもらった神戸プリンで癒しのティータイム。
南極っぽいところで食べてる写真を撮ろうと思い持って行ってはみたものの、風が強すぎてさすがに外では食べられなかったのが残念。
あたたかい雪上車の中で、ゆっくりいただきました。
ウマかった〜(^_^)b
カメラが地吹雪で雪まみれだったため、暖かい雪上車内に入ってレンズが一気に曇ってしまい、往年の大女優並に紗(シャ)かかった感じの1枚になってしまった(^_^;

日曜日は当直。
ブランチのピザ生地をのばすお手伝いや、夕飯のアジフライの下ごしらえをお手伝いした。
ピザ生地なんて日本では自分で作ったり触ってのばしたりすること一生ないだろうけど、ここでは色々させてもらえるから嬉しい。
生地はホントでっかい耳たぶみたいで触ってて気持ちいいのだ。
でも、まん丸にのばすのが意外と難しくて悪戦苦闘。

アジの下ごしらえは、調理隊員によるアジの開き方講習も兼ねたもので、前日のミーティングでみんなに呼びかけがあり自由参加で行われた。
解凍され有志たちを待ち受けていたのは、とっても立派なマル一匹状態のアジ20kg!
そのサイズ感は、私のイメージするアジフライから想像されるアジとはかなり違っていた。

まずは、ぜいごをそぎ取る。

ぜいご?

初耳。

ぜいごとはアジの尾近くにあるとげ上のウロコのことだそう。

知らんかった〜。

それからアタマを落とし、内臓を取り出す。
ここまでできたら水洗い。

集まったアジ開き隊たちは5人。
私は5人がアタマと内臓を落としたアジを水洗いする係にあたった。
当直時のかっぽう着スタイルでひたすらアジの内臓を洗う姿は漁師町の食堂のおばちゃん風だったに違いない。
洗ったアジはそこから三枚おろしにされていった。
この日さばかれた大量のアジは、今日のフライに使ったもの以外すべて真空パックされ調理しやすい形でさらに保存されることになった。
夕飯のフライは、この立派なアジの切り身2きれと豚ヒレ2枚。

イメージしていたアジフライよりずっと肉厚でふわふわのアジフライに、ごはんがすすんだ。
アジの三枚おろし、勉強になったけど、やることあるかなぁ、、、
ないだろうなぁ。