冬の気配

4月に入り、日本では桜も散って、だいぶんと暖かくなってきている頃だろう。
こちら昭和基地では最近めっきり冷えてきた。
つい先日は-17.6度にまで達し、シャボン玉も凍る寒さだった。

しかし、風がないと耐えられないこともない。
この動画は−15度の中、Tシャツにフリースをはおり、素手のままiPhoneで撮影したけど無風に近かったので平気だった。

しかし、うって変わって翌日は風速20m/sの風がずっと吹き続ける1日。
本当に自然の驚異を感じる。
ちなみに、風速20m/sを超えるくらいの風が吹いてるとマジで吹っ飛ばされそうになる。
強風でも視程が悪くなければ一人で行動できるのだが、強風と視程不良で外出注意令というものが発令されると、外出時は二人以上で行動し建物間を結ぶライフロープをたどって移動することになる。
私の仕事は毎日、地学棟という建物に行って観測データがとれているのかチェックすることなんだけど、外出注意令が出た日の移動の様子がこんな感じ。

日本では台風が来れば学校がお休みになるということで、台風来い!なんて思ってたりしたけど、本当に強風の怖さをなめてはいけないと実感する。
便利な暮らしをしていると、人間の力で何でもできると過信してしまいがちだけど、ここにいると、どうにもならないことはホントどうにもならないんだと感じる。
自然に対し謙虚な気持ちになれる気がする。
“風が吹いたらお休みで”って、カメハメハ大王みたいなゆるい暮らしだけど、ここでは仕方がないと素直に受け止めるしかない。
そして自然は刃を向けるばかりではなく、時に美しく我々を魅了してくれる。

真っ暗な日々も、晴れてこれがあるとたのしみだなぁ。