アウシュビッツとビルケナウ

7:40発のバスツアーだったので、おいてけぼりくらわないよう、少し余裕を持って集合場所へ行くと、わんさか人が集まっていた。
ツアー会社の人っぽいおっちゃんにバウチャーを見せると、
「これは30分発のツアーだから、40分発のはもぉちょっと待ってな!」
的にあしらわれる。
そんな間隔ででてんの?!バスツアー。
スゲー。

イングリッシュツアー!
とか、
スパニッシュツアー!
とか、
ちっちゃいオッチャンが大声でがんばって叫んでた。
色んな言語のツアー客が何台ものバスで移動していくようだった。

私の乗ったバスには、スペイン語ツアーの人もいた。
バスに座ると添乗員的な兄ちゃんが、どっかに貼っとけ的なシールを配ってくれる。日本とおんなじ。
シール配られただけだけど、この兄ちゃん、なんだか女性的親近感を覚える雰囲気。でも、スウェットのパーカーの上に袖なしジージャンはおって、ちょっと厚着の杉ちゃん風。
このオネエな杉ちゃんがツアーガイドかと思いきや、バスを降りると残念ながら杉ちゃんはスパニッシュツアーの方へ行ってしまった。
かわりに来たのが、さっき大声でがんばってたちっちゃいオッチャンだった。

それぞれの言語ごとに20〜30人の団体になって行動していくんだけど、あきらかイングリッシュ1番理解してなさそうな顔の私達。
集合時間と場所だけは特に聞き逃さないよう気をつけた。
バスに乗ってから1時間ほどでアウシュビッツのゲート前に到着。
すっげー人だらけ!
チケット売り場は見たことないくらい長蛇の列!
負の遺産ってゆうより、楽しげなテーマパークの入り口みたいな人だかりだった。
私達ツアー客は、チケットの列に並ぶことはなく、でも、セキュリティのゲートには少し並んで入場した。

まずはガイドブックにもよく書いてある、「働けば自由になれる」という文字が掲げてある収容所のゲートで写真を撮る。
Bの文字が逆さまになっているところがポイント。
この看板を作った囚人達のささやかな抵抗らしい。

想像していた収容所の雰囲気とは全然違う、なんだかキレイで整った建物が並んでいた。

かつては高圧電流が流れていたという有刺鉄線や、死体を焼いていたという建物(←写真は撮る気になれなかった)など、恐ろしい雰囲気が漂っている場所も所々にはあった。

建物の中の各部屋にも色んな展示物がガラスケースに収められている。囚人たちの切り落とされた髪の毛が展示してある部屋もあった。壁一面がガラスケースになっており、中にはすごい量の髪の毛が詰まっていた。部屋全体が薄暗くなっており部屋の壁には撮影禁止マークがあった。
撮っていいって言われても、撮る気持ちになれない光景だった。

囚人たちを効率よく大量に殺すためガス室で使われた毒ガスの空き缶も大量に展示されていた。

殺された囚人たちの顔写真もずらりと展示されていた。ひとりひとりの写真の下に、いつ収容され、いつ亡くなったのか、意味不明なほど几帳面に記録されていることに驚く。
ほとんどの人が1年もたたないうちに亡くなっていた。

なんで、、
ってゆう気持ちでモヤモヤになる。
本当に人間はおろかな生き物だと思う。

他にも、餓死刑に使った地下牢や、銃殺が行われたという壁など、目を背けたくなるような現場を見て回った。

アウシュビッツ見学を終え、外のゲート前で次の集合時間が告げられた。30分くらいしかなく、カンタンなパンと飲み物だけ売店で買ってバスへ戻る。
アウシュビッツからバスで数分くらい移動し、ビルケナウという収容所へ到着。
どんどん増えてくる囚人たちを効率よく収容していくため、ビルケナウの入り口には列車の線路が引かれていた。

貨物に積み込まれた人たちがビルケナウの入り口に到着すると、降りた途端に「働けるヒト」と「働けないヒト」に振り分けられたという。働けないと判断された人は即ガス室へ入れられ殺された。
ぢゃ、なんでワザワザここまで連れてくるの?とか、いちいち意味がわからないことだらけ。
働けると判断された人たちが収容されていた小屋も見て回った。
馬小屋みたいな仕切りに、2段になるような板が取り付けてあるだけ。部屋というよりも、仕切りのないカプセルホテルみたいな感じ。
夏のポーランドは19℃くらいで過ごしやすかったけれど、冬になるとこの辺りは−20℃近くにもなるらしい。
着いた途端に殺された人も悲惨だけど、殺されなかった人にとっても地獄だったことだろう。

そんな恐ろしい意味のわからないことが行われていたとは思えないくらいに、のどかな風景が広がっている。

色々と見て回った後に、ツアー客を集め輪になって、ちっちゃいオッチャンが語った。
「ここで皆さんが見たことを、それぞれの国に帰って、もっともっと多くの人に伝えてください。」
的な感じで。
イングリッシュやんわりしか聞き取れないけど、ええことゆうてんねんやろーなこのオッチャンという雰囲気は十分伝わってきた。

アウシュビッツのツアーからクラクフの街へ帰ってきたのが15時前。次の岩塩採掘場ツアー集合まで1時間もなかった。
集合場所近くのカフェでお茶してから次のツアーバスへ乗り込もうとしたところ、なんと午前中のアウシュビッツのガイドをしてくれていたちっちゃいオッチャンがいた!
同じツアー会社で申し込んだから当然といえば当然だけど、オッチャンよく働くね〜って感じ。
しかし、午前中あれだけ広いアウシュビッツやビルケナウの中をガイドしながら歩きまわり、けっこう疲れていそうなものなのに、オッチャンのテンションは午前中とは別人くらいにアゲアゲだった。
まったく、オッチャン場をわきまえてる。

ジョーク入ると英語のガイドは更に理解しにくくなるんだけど、、
他のツアー客が笑うポイントとは微妙にズレたタイミングでの苦笑いが続く。

このヴェリチカ岩塩坑はアウシュビッツと並んでクラクフでのベタな二大観光ツアーのひとつ。なんと世界遺産!
中には塩でできたシャンデリアや教会などもあって、けっこう豪華。
めちゃめちゃ広くて、見て回るだけでもかなり疲れた。

前を歩いてた観光客が手に持っていた携帯の画面はポケモンゴーだった。こんなとこでもでるのか?ポケモン!?

クラクフ二大観光をせわしなく1日で満喫し、明日はポーランドの首都ワルシャワへ移動!