ふくしまについて考える〜その2〜

研修3日目は、埼玉大学で講義と実験。

 講義の内容は、「放射性物質の化学」「放射線の物理」「放射線の生物学的影響」という、どれも興味深いものだった。
 実験実習は化学系のものと物理系のもの2講座を体験させていただいた。

 化学系実験は、イオン交換樹脂によるセシウム除去能力をみる実験だった。
 セシウムはもちろん放射性のものではなく、安定同位体のセシウムを使用するのだが、「セシウム」という言葉に何となく無意味な恐怖感を感じてしまう。。。
 今回実験に使用したイオン交換樹脂によるセシウム除去率は約98%だった。時間の関係上、その他のいろいろな除去剤を用いた実験をすることはできなかったが、イオン交換樹脂以外に検討されている様々な除去剤について現物とその実験データを見せていただいた。
 吸着後の処理のしやすさやコストパフォーマンスも含め、実践的な除去剤として最適な素材は何かが実験により検討されているようだ。

 物理系実験は、目には見えない放射線を目で見る「霧箱」というものを作成する実験だった。原理としては、放射線による刺激で容器の中に雲を作るというもの。アルコール蒸気を満たした容器を十分に冷やし過飽和な状態にしておいて、そこへ放射性物質を入れる。すると、そこから発せられた放射線による刺激で容器内に飛行機雲のようなものができる。まさに、目には見えない放射線の軌跡を雲という形で目にすることができるのだ。
 各実験テーブルで作らせていただいた小さな容器内での実験でも十分見ることはできたのだが、大きな装置を使った「霧箱」の動画を撮らせていただいた。

 ↓もやもやっとした白い筋が放射線の刺激によってできた雲

ほんとに出てるんだー・・・放射線。。。
という素朴な実感がわいてくる実験だった。

 あと、放射性物質と線量計の間に鉛の板を置いていって、その遮へい率を調べる実験も行った。同じような遮へい実験は、7月末に近畿大学の原子炉実験・研修会でも体験させていただいたが、その際に使った放射線源は市販の試料だったのに対し、今回の実験で使用した放射線源はポリ袋に入れられた“福島の土壌”だったことが印象深い。これは福島県内の立ち入り制限のない私有地にて所有者の許可を得て採取し、研究用に大学の実験施設で適切に保管されている低線量の土壌サンプルだそう。
 本当にここから放射線が出ているんだ…と、リアルに訴えかけるサンプルだ…。。。