東の北極〜その1〜

ついに、やってきたー♪
北極!!!

っていっても、北極点に陸地はないので、
世界最北の町…≒北極な町、ロングイヤービエン!!

スバールバル諸島の中でも、ロングイヤービエンより北にあるニーオルスンには各国の研究者が住む施設があるらしいけど、一般ピーポーがちょいと観光しに行ける場所では当然なく、普通の人々が普通に暮らしている世界最北の町が、ここロングイヤービエンというわけ。。。

とりあえず、地球両極制覇な気分にひたる…

ロングイヤービエンは北緯78°13′
昭和基地は南緯69°くらいだったから、昭和基地より緯度的に10度くらい高緯度なわけだ。

でも、ここは・・・、
夏の昭和基地へ降り立ったときのイメージとは全く違う。
緑がある!
木こそないけれど、ちゃんと草が生え、花も咲いている。
“ココ、暮らせる!”的な雰囲気が漂っている。

気温としては夏の昭和のちょっと暖かい日くらい。2〜3℃といったところ。しかし、生物を寄せつけない雰囲気の南極とは全然違う。
「あぁ、ここ北半球だぁ…」って漠然とした安心感を感じる空気。。。
太陽は、沈まないけど日本と同じで右に向かって進んでいく・・・。

ロングイヤービエンの空港へたどり着いたのは夜中の1時。
予定通りなら23時半着だったが、オスロから飛ぶ飛行機の出発が遅れたため。

心配になって、オスロ空港で宿からの予約返信メールを再確認すると、、、

夜中に着く場合はメールくれって書いてある
・・・

不安はつのる。

しかし、今更どうしようもないし、、、
どうにかなるっしょ的な気持ちが旅を愉しむ重要な要素♪

結局、1時間半遅れで到着したロングイヤービエン!

夜中だけど明るいし、
地球両極制覇!な気分でテンションは高めだし、
不安よりも嬉しさの方が勝る到着となった。

飛行機を降り徒歩で空港の中へ、、、
パスポートコントロールもなく、いきなり荷物受け取りレーンがある超田舎空港。
そのレーンの真ん中で、シロクマの剥製が到着客達のテンションをアゲてくれる。

ちなみに、オスロ出発時にはパスポートコントロールがあり、出国はしたハズ・・・
ここスバールバル諸島は、一応ノルウェー領だけど、どこの国にも属さないという特殊な場所。
再びオスロへ戻るまでの2日間はパスポート上、空白の期間となる。
そういえば、南極も国ではないのでパスポート上にハンコはない。
私のパスポートには、南極へ行っていた4ヶ月間に加え、こいつドコ行ってたんだ的なナゾ期間がまた増えた。


空港を出るとバスが止まっていた。

わかりやすっ!
バスのおっちゃんに、
「スバールバルホテルへ行きたいけど止まる?」って聞くと
「オーケー♪」といって荷物をバスへ積み込んでくれた。
デカいバスにパラパラと数名の客を乗せてバスは出発、、、
バスが止まるたびバスのマイクでおっちゃんが、
「#$%&☆*?」って、超聞き取りにくい放送でホテルの名前を言う。
でも、まぁ、ここにしたら超めずらしいコノ顔系の女子が
「スバールバルホテル止まる?」って聞いたんだから、ちゃんと声かけてくれるだろう…
と思って座っていたら、、、

あまかった。。。

すぐに一周できる小さな町をバスは走り、また空港の方へ向かっている!

やばーい!

どうしようかアタマんなか混乱してるウチに、バスは明らか車庫の中へ、、、、。
一仕事終えた感いっぱいのおっちゃんの背中に向かって、
「スバールバルホテルは?」って聞いてみると、
おっちゃんはめちゃビックリ顔で、
「気づかなかったよ!まだ乗ってたのか?!」って。。。

まじー?!

忘れる?ふつう?この珍シチュエーションで!

「おぉ、しょうがないから車で送ってやるよ」と、おっちゃん。
そうだよね、そうだよね、、、
ふつう、この(明るいけど)夜中に女子ひとり、こんな車庫に放置しないよね?!
ま、無駄な時間をロスしつつ、おっちゃんの車でホテル横付け到着。

機嫌良くおっちゃんに手を振り、ホテルのドアを開けようとすると・・・

あきませーん!!!

オスロ空港でよぎった不安的中。
玄関に書いてあった、ドアが閉まってる時はココに電話しろ的な番号に電話してみる。。
しかし、うまくつながらない。
そもそも、ココでの電話のかけ方って???
旅行のバイブル『地球の歩き方・スバールバル』はザンネンながら存在しない。
仕入れてきた情報は、色んな人のブログの中に書いてあった情報くらい。。。
ノルウェー領だからノルウェーの電話のかけ方か?いろいろ考えてダイヤルしてみたけど、だめ。。
奇跡的に「海外パケホーダイ対象国です」通知がでてくれて(スゴイなdocomo!)電波も4本たっていた私の携帯だが、役立たずに終わる。。。

そこへ、

通りかかったタクシーのオッチャン!
急いで駆け寄り、事情を伝えて、私の携帯でつながんないからオッチャンの携帯でかけてくれと頼んでみた。
オッチャンがペラペラと、(たぶんノルウェー語で?)宿の人に事情を話し、私に携帯を渡した。
「チェックインしたいんだけど…」と伝えると、
「ん…、ちょっと待ってて」とニーチャン。

なんとかなりそぅ♪(感涙)

オッチャンに心から礼を言い手を振る。
車へ戻ろうとして振り返り、またこっちへ近づいてきたオッチャンはポケットから何かを取り出した。そして、
「タクシーがいるときはココに電話してくれ」と私に名刺を差し出してきた。


いや、だから、、、
電話できないからオッチャンに頼んだんだよー!
ってツッコミたい気持ちでいっぱいだったけど、、、また、そのまま満面の笑みで手を振っといた。

直後、「ハ〜イ」とテンション高めに現れた男、、、
おお!やっと中に入れる〜!!
って思って礼を言いながら話してると、なんかかみ合わない。
どうやらコイツは、この宿に泊まっているただの宿泊客で、近所のバーで飲んでいたところ、困ってそうな子がいるので様子を見に来てくれただけみたい。
タイミングわるいんだよー!
けっきょく、、、
「おれにはどうしようもできないよぉ…、バイバーイ♪」と、
気温0℃くらいの寒空の下、予約した宿の前で野宿しそうな異国の女子ひとりを残し、その男はまたバーへ向かって陽気に消えていった。
なんなんだよぉ〜!
と思いながらも、オッチャンが電話してくれた宿のニーチャンを待つ。
もう、このニーチャンが現れるのを待つしかない。

待つこと十数分・・・

きたー♪
めちゃくちゃステキに見えたよ、ニーチャン!

部屋に無事入ることができ、
「よかったぁ・・・」
とおもわずひとりで声に出してつぶやいたのは、もう夜中の2時半だった。

感動と混乱の中、なんとかたどり着いた北極の地、、、
興奮気味で眠気もなかったけど、明日のために必死で目を閉じる…。