原子炉実験・研修会

昨日も暑かったが今日はさらにヒドイ。
37℃?! それってホントに気温デスカ?!ってカンジ…
そんな暑い暑い2日間、私は近畿大学原子力研究所へ『原子炉実験・研修会』を受講しに行っていた。

原子炉ってどんなものなのか…
世の中的に「コワイモノ」ってゆう漠然としたイメージが強くなってしまっているが、知識として実際の運転の様子や仕組みを見てみたい!と思って申し込んだ研修会だった。

ただ、原子力利用を推奨する教育を求める意図がある研修だったりするのかな…?なんて想像もし、少し構えていたことも確か…。
しかし、研修会の最初、原子力研究所の所長さんは挨拶の中で
「世の中に絶対に正しいものなんてありません。この研修会で皆さんが見て感じ考えたことを皆さんなりに生徒に伝えていただいたらそれでいいと思っています。」
といったことをおっしゃった。
途端に気持ちがリラックスできた。
素直に聞く耳が持てるようになった。

こうして始まった暑い熱い研修会は、原子炉を実際に運転させてもらったり、身の回りの放射線を測定してみたり、様々な興味深い講義を聞かせてもらったり、、、本当に好奇心そそられる有意義な2日間だった。

近大の原子炉は、民間原子炉として昭和36年から運転しているらしく、教育・訓練および研究用として設計された1Wという極低出力の原子炉だそう。というわけでマスコットキャラクターは「1Wくん」↓

低出力であることから、冷却水もいらない…運転中も炉室に立ち入ることが可能…など、原子炉といわれて想像する危険なイメージとは大きく異なるものだった。
炉心を上からのぞかせてもらうこともでき、燃料が入れられている様子、そのまわりに制御棒がある様子なども見ることができた。
原子炉の仕組みについてはよくニュースなどで図を使った説明がされていたりするが、実際に見てみて「ほぉーっ!」って思えた。
炉心の真ん中には腕1本突っ込めるくらいの穴があり、そこへ色んな試料を入れ放射線を当てる実験も行われているらしい。(例えば、エジプトの遺跡のかけら?を入れて成分分析したり…)
原子炉には、安全を守るための色んな工夫がなされているということもわかった。



放射線管理区域内にいる間は線量計を身につける

実験実習の時間には、放射線が物質を透過する性質を見る実験を行った。
身の回りの色んなモノをテープで貼り付けたアルミ板と写真用フィルムを原子炉の上にしばらく放置しておくと、原子炉の上に発生した中性子線が色んなモノ達を透過しながらフィルムに当たり、身の回りのモノ達の透過画像がフィルムの上に映し出される。
身の回りのモノ達としては、ストップウォッチや電卓、消しゴムや電池といったものが用意されており、その中から好きなモノを貼り付けて下さいとのことだった。
何か自分が身につけているモノを貼り付けてもいいと言われたので、私は携帯ストラップのチョッパーくんを貼り付けた。

↓原子炉の上で中性子線を浴びてくるという貴重な冒険帰りのチョッパー

↑中性子線透過画像とX線透過画像との比較
(放射線の種類によって透過の仕方が違うことがわかる)

目に見えない放射線について、恐ろしさばかりではなく、医療や工業利用への利便性について学ぶことができた。
放射線利用について、知識をもって扱えば、むやみに恐がる必要はないという部分については理解できる。しかし、知識をもっていくら安全に扱ったとしても、廃棄物の処理方法もいまだ見つかっていない原子力発電を続けるという部分においてはやっぱり納得できない。
今回の研修で色んな勉強ができ、原子力や放射線へのイメージも少しは変わった。
そして、変わらずおかしいと思うこともある。

8月後半、私は福島で行われるサイエンスリーダーズキャンプという研修会に参加する予定。実際に被害を受けている地域の様子を肌で感じ、次に私はどんなことを考えるようになるのだろうか…、今から愉しみ・・・。