うれしいことがありました

朝から6時間目の終わりがたのしみでしかたなかった。
6時間目終了のチャイムが鳴る。
はやる気持ちを抑えながら急ぎ足で駅に向かった!

今日は、昭和基地で越冬中のI隊員が、茨木市内にある出身校に向け「南極教室」を行う日だった。私がやった「南極授業」とおなじくTV会議システムを使い、昭和基地と日本の小学校が結ばれているわけだ。
生徒達が帰った後、せっかくつないでいる回線を利用して、昭和のみんなと顔を見ながら話ができるかもしれない?!そんな情報を、越冬中のLAN担当T隊員から数日前に教えてもらっていた。
いかないわけはないでしょ!
『昭和のみんなに会いたい!』
考えるだけでワクワクしてくる数日間だった。

汗だくになりながら急いだ甲斐あり、超飛び入り的に(笑)、衛星回線トークに参加させてもらうことができた。
昭和のみんなの元気そうなリアルタイムの姿をホントに見ることができた♪
しかし、いざ話すとなると・・・、
嬉しい気持ちばかりが全面に出てしまい言葉が出てこない・・・。

みんなのブログ見てますよ!
五三賣新聞(昭和基地で過ごす53次越冬隊の手作り新聞)も読んでます!
webカメラで毎日ちゃんと昭和基地の空、見てます!
みんな元気そう(;_;)ururu
髪の毛めっちゃのびてる〜(笑)!

いろいろ、もっともっと話したかった。。。
と、後になって思うことばっかり・・・。

とりあえず全力で手だけは振ってみた。
みんな残りの越冬生活も頑張って!!
全力で愉しんで下さい!
一緒に愉しみたかったぁ、ウラヤマシイです!!
って気持ちでブンブン振りまくった。
うれしくてしかたなかった。

興奮冷めやらぬまま、梅田の街にでた。
サンザン私を汗だくにしてくれた憎らしい太陽も、
沈みかけるとキレイで好印象☆
ちょっと涼しく過ごしやすくなった夕暮れ時の都会の中を、
気分よく歩いて行った。

向かった先は、、、、


関西電力本店。

前には2人の小さな子供をつれた若いお母さんが歩いていた。
少しずつ大きくなってくるザワメキ。
だんだんと聞き取れるようにもなってきた。
「ゲンパツハンタイ。イマスグハイロ。」
最後尾にぶち当たると、前を歩いていた若いお母さんは子供の手を引き、
「もうちょっと前いこう」と言って、どんどんと進んでいってしまった。
私も、もう少し前進してみることにした。
子供連れの親子、カップル、若者、
おっちゃん、おねえちゃん、ほほ笑ましい老夫婦…、
いろんな人達が集まってきていた。
キレイな夕日が落ちていく暑かった日の夕暮れ時、
夏祭りを思わせるくらい、危険度を全く感じさせない人々の集まり。
「車道には降りないで下さい。」
「歩道をなるべくあけて下さい。」
みんなとっても平和的に、主張したいことをお行儀よく表現していた。


行ってみてよかった。
コワい雰囲気だったらすぐ帰ろう・・
って実は思っていたけれど、
全然コワくなかった。

こんなに普通の、こんなにたくさんの人達が、主張しなきゃ!って思うくらい
心を動かし、行動させる…
そんな問題なんだ、今日本に起こってる問題は…。
そんなふうに感じた。

3月、南極から日本に帰ってきて…。
ボーっと空ばかり眺めながら現実逃避的に昭和の空を思い出すことが多かった。
今は、目をそむけてばかりはいられない問題が多すぎる。
わたしは今こんな日本に、カナシイ意味で興味がある。

ちいさな頃から私は原子力発電のこと、
後始末できないものができるとわかっててなんでやるんだろう…
って素朴に思ってきた。
今もそれはかわらない。

なんとかなるさって思う大らかな気持ちは大切だけど、
こればっかりはなんともならない。

おなじようなことを思う人は少なくないのかもしれない・・・
そう感じることができた。


見ているだけでシアワセな気持ちになる、
涙が出そうな南極の空にはとうていかなわないけれど、、、
今日の夕方、大阪で見た空は、まんざらでもない空だった。