ビルだ!

16日の朝日、
眠れないままに一晩を過ごし、
久々の陸地と共に姿を現した朝日、、、
陸をよく見るとビルも見える。文明が見える。

自然にさんざん感動してきたぶん、
文明的なものを見ることに新鮮な感動が湧いてくる。
へんなの…。

昨晩は、あふれんばかりの天の川が流れる満天の星空に感動した。
つい5日前までは船からオーロラを見て感動していた。
つい2週間前には凍った真っ白な海を見ていた。
つい1ヶ月前には昭和基地のあの丘でキレイな地球影のグラデーションを見て心ふるわせていた。
今日はビルに感動している。
へんなの…。

昨日、しらせから眺める海は、
夏らしい太陽に照らされキラキラと輝いていた。
南国みたい…って思うような海。
しかし、考えてみるともっともっと南から帰ってきたハズなのに。
へんなの…。

しらせは今日、フリーマントル沖に停泊し、
明日の朝、フリーマントルへ入港する。
明日、久々に「街」へ足を踏み入れる。
基地の仲間達や自衛隊の方々以外の人間を久々に見るわけだ。
財布も持たなくてはいけない。
お金を使うのも久しぶり。
携帯もつながっちゃう?もしかして。

あたりまえの生活があたりまえに戻るまで、まだもう少し感覚補正が必要そう。

そして、
今のあたりまえ=観測隊の仲間達と一緒にいること
が今度はあたりまえではなくなる。

往路のしらせであたりまえのように一緒だった53次越冬隊の皆さんが、復路のしらせにはのっていない。
あたりまえなんだけど、あたりまえじゃないような違和感がありサミシかった。

今度は、夏隊の皆さんともあたりまえのように一緒にいることがあたりまえではなくなり、そうしていっきに日本で暮らしていた「あたりまえ」の生活に戻っていく。

やっぱりちょっとサミシイ。

久しぶりに会える日本の友人達。
わくわくする。うれしい。
どうしてたかなぁ…。
色んな話がしたい。

8月31日、終わりゆく夏休みを想う気分。
日曜日の夕方、サザエさんを見ている時の気分。
そんなのに似た、複雑な気分。


あの陸地に降り立てば、
携帯電話の電源を入れれば、
電波と一緒に感覚も
自動的にローミングされるかな…。

「あたりまえ」の生活に戻ることが惜しいと思うくらい楽しかったこの4ヶ月間、一緒に過ごした仲間達に、『ありがとう。』

そして、日本での私の「あたりまえ」の生活を支えてくれている皆さん、『ただいま。』

色んな土産話持って帰ってきました。
また、どうぞよろしくお願いします。

19日、私は日本へ帰ります。